スター700ライン
知り合いからスター700ラインを譲り受けた。車で受取りにいくと、いっしょに発売当時のCQ誌の切り抜き記事や改造メモも渡されました。かなりの年月、火を入れていないとのことだった。

ST-700送信機(写真左)、SR-700A受信機(写真右)。SR-700Aは1965年(昭和40年)、ST-700は1966年(昭和41年)の発売である。パネル面では大きな改造は見られない。はたして真空管は生きているか、トランスはショートしていないか?
<SR−700Aの回路構成>
<SR-700のチェック>
ケースから出して目視チェック。真空管がないソケットがあった!回路図をあたってみると検波後のAF段の3本(6AL5、6AU6、6MP−18)が無い。改造メモに記録があった。「OutPutトランスの1次側巻線の断線でこれを撤去。回路をIC化した」。シャーシの裏を良く見るとラグ板にLM386と3端子レギュレータがしがみついている個所が見つかった。手当てはなされているようだ。パネル面のAVC切り替え(OFF/FAST/SLOW)のOFFの位置に「MON」と書いたテープが張ってあるが、そのほかには目立った改造個所もない。全バンドXtalも入っている。これもソケットから抜いてディップメータで該当周波数が発振することを確認。
後は電源を入れて本当に動作してくれるのか、確認だ。
電源トランスの絶縁をテスタでチェック。B+とアース間はショートしていない。フィラメント巻線も高圧とショートしていない。大丈夫のようだ。溶けそうなコンデンサも無いようだ。真空管を抜いたままで思いきって電源をONにした。しばらく様子をみたが匂いや煙はなし。真空管のソケットの足の電圧をあたってみるとOK。B+もフィラメント電圧も来ている。真空管をソケットに戻し再度電源スイッチを入れた。ダイヤル部分のパイロットランプが点灯ししばらくすると真空管のフィラメントが赤くなってきたがプレートやグリッドが赤くなることはないようだ。シャーシ上面、裏面の匂いをかいだが異臭もなし。電解コンデンサも異常がない様子。問題なさそうなので電源を入れたままにした。
バンドを40mにし、ANT端子にLWをつないでヘッドホンを挿しこみ耳に当てた。ブーンというハム音しか聞こえない。例の改造されたAF段のICをドライバの先で触ってみるとブーンと大きな音が聞こえる。AF以降は生きている。ディップメータで7030あたりを発振させておいてダイヤルを廻せどもなにも聞こえない。ノイズも聞こえない。聞こえるのはハム音のみ。較正用の100KのマーカをONにしてもそれも聞こえない。
改造メモを探した。前面にあるAVCのSW「MON」の意味は?鉛筆書きの記事が見つかった。RF段とIF段のカソードをアースから浮かすためにAVC-SWのFAST/LOWポジションを流用している。RF、IFのカソードは「MON」の位置(=OFFポジション)でボリュームを経由してアースに落ちている。トランシーブ動作のときのモニタができるような改造なのかもしれない。SWを「MON」の位置にしたら「サー」というノイズが聞こえてきた。ダイヤルを廻すとディップメータの信号が聞こえた!

その後ディップメータでハムバンドの周波数信号を発振させて、全バンドについて受信を確認した。ダイヤルの動きも正常でマーカのキャリブレーションもOK。0.5〜4Kcのバンドパスフィルタもいい。40mでWのCWもきれいに聞くことが出来た。80mや40m(LSB)、15m(USB)でSSB復調もできる。40mバンドのAM放送もOKだ。残された問題点は、「MON」の改造のためにであろうAVCが死んでいると思えることである。そのためAVCが働かないこと、それに伴いSメータが受信信号でほとんど振れないことである。「MON」をやめ原回路に戻すため配線を細かく追いかける必要がある。また、長時間通電時のQRH等のチェックも必要だ。
電源スイッチを入れると、Sメータが大きく振れ、しばらくすると針がゼロへ戻ってき、そして「サー」という軽いノイズとともにCWが聞こえてくる。プリセレクタのつまみを廻すと信号がはっきり浮かんでくる。なつかしいフィーリングだ。ランプに照らされたダイヤルの向こう側に見知らぬ世界が広がる感じである。久々に思い出した感覚だ。
<SR-700その後>